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妊娠しづらいかも?

妊娠のための経路のどこかが障害されていると妊娠できません。まずは不妊原因を特定することが重要です。

受精と着床のしくみ 〔図(1)〕

①腟内に射精された精子が頸管から子宮腔へ入り、子宮の両端から卵管内へ入る
 精子が少ない、抗精子抗体の存在、頚管粘液減少による遡上困難、卵管狭窄・閉塞などが原因
②成熟した卵胞からタイミング良く排卵された卵が卵管采によって捕らえられる
 排卵障害、クラミジア感染や子宮内膜症などが原因による卵管周囲癒着などが原因
③卵管膨大部で卵と精子が合体し、受精卵となる
 受精障害(体外受精をした場合にのみ確認できます)が原因:体外受精をするときに判明します
④受精卵は分割を繰り返し、胚となって卵管の中を移動し子宮腔に入る
 染色体異常により「卵割」停止、子宮奇形、子宮筋腫、子宮内膜ポリープなどが原因
⑤子宮腔から子宮内膜へもぐり込む(着床)
 黄体機能不全、子宮内感染などが原因

受精と着床のしくみ1

次に、それぞれの不妊原因を説明します。

1. 男性側の問題 ―男性因子― 〔図(2)〕男性因子2
(a) 造精機能障害 男性因子の80~90%
 無精子症、乏精子症、精子無力症、奇形精子症など
  → 精索静脈瘤、停留精巣、おたふく風邪による精巣炎、染色体異常などが原因
(b) 精路通過障害(精液が外へ出られない)
  → 炎症やヘルニアなどで閉塞したり、生まれつき欠損していることなどが原因
(c) 精液の異常
  →前立腺炎、精嚢炎の原因菌が精子の運動を妨害
(d) 性機能障害
 勃起不全(ED)、射精不全、逆行性射精、先天的な奇形
  →ストレスや不適切なマスターベーションの習慣など、様々な原因

 

 

2. 子宮の入口の粘液(頸管粘液)の異常
 排卵日の前後には子宮頸管から分泌される粘液が透明に変化します。頸管粘液と精子遡上3頸管粘液の状態が悪いと精子が子宮の中へ入って行けません〔図(3)〕。

 

3. 卵管の異常―卵管因子―不妊の約30%〔図(4)〕
 子宮と卵巣とをつなぐ細い管である卵管は、クラミジア感染などで通らなくなります。完全につまってなくても、卵管の出口辺りが癒着していると卵巣から排出された卵を捕らえることができません。
(a) 卵管閉塞・狭窄(クラミジア卵管炎など)〔図(5)〕
(b) 卵管周囲癒着(骨盤腹膜炎、子宮内膜症など)〔図(6)〕
(c) 卵管采の変形や捻れ〔図(7)〕卵管因子4-7

4. 排卵障害―排卵因子―不妊の約20~30%
 卵巣のなかで卵子を包む卵胞が大きくならず、排卵できない事があり、その場合月経が来ません。〔図(1)〕〔図(8)〕
ストレスやダイエットによって脳内のホルモン中枢である視床下部の働きが悪くなる場合や、下垂体前葉から分泌されるプロラクチンというホルモンが多くなって排卵が障害される場合、卵巣内に小さな卵胞が数多く見られるが、それらが排卵しない"多嚢胞性卵巣"という状態、などがあります。

5. 受精障害―受精因子―不妊の約5%
 卵管の膨大部で精子と卵が出合い、卵の中に精子が進入して受精しますが、このメカニズムがうまく進まなくて妊娠しない場合があります。〔図(9)〕

6. 着床障害―受精卵が子宮内膜にもぐりこめないもの
(a) 子宮の異常―子宮因子―不妊の約15%
 ⅰ 先天的な子宮奇形〔図(10)〕
 ⅱ 後天的な子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮腔癒着症など〔図(11)〕
(b) 黄体機能不全に伴うもの―不妊の約10%
  排卵した後に卵胞を包んでいた細胞群が黄体細胞に変化して、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。黄体から充分にホルモンが分泌されない場合や、子宮内膜がホルモンに反応しない場合、黄体機能不全といい、不妊の原因となります〔図(12)〕。

子宮因子10-11黄体機能不全12

7. 免疫が関与する不妊―免疫性不妊―抗精子抗体13
 女性の体内に精子の運動性や受精能力を損ってしまう"抗精子抗体"〔図(13)〕ができていることがあります。卵の表面の膜と結びついて卵の発育を障害する抗体があることもあります。また、男性の身体のなかにも、精子と結びついてその働きを障害する抗体ができることもあります。
 これらの抗体が不妊に関与している場合を、免疫性不妊と呼び、不妊の5~10%にかかわっていると考えられています。

8. 機能性不妊、原因不明不妊
 一般的な不妊検査(ホルモン採血、精液検査、頸管粘液検査、Huhnerテスト、基礎体温、超音波検査、卵管疎通性検査など)で異常を認めない例は15~25%もあり、これらを機能性不妊と呼びます。
さらに詳しく子宮鏡や腹腔鏡などの検査をしても原因が判らない例を原因不明不妊といいます。

9. 子宮内環境の異常―慢性子宮内膜炎などの影響―
 最近、子宮内の細菌の状態が妊娠率に関係するとの報告が相次いでいます。かつては子宮内に細菌は存在しないと考えられていましたが、通常の培養では検出できなかった細菌叢が、次世代シークエンサーで検出できるようになり、正常な状態では乳酸菌(善玉菌)がほとんどを占めていることが分かっています。不妊症や不育症の方では、善玉菌以外の細菌が多くを占めていることがあり、治療により妊娠率が改善すると報告されています。現在、東京大学などで臨床研究として検査(自費)が行われるようになり、当院でも検査を導入しました。
 子宮鏡で子宮内膜組織診を行い、慢性子宮内膜炎と診断された方は、上記の検査でも異常があると思われます。

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