タモキシフェン内服の方への子宮体がん検診
本日、日本産科婦人科学会でタモキシフェンを内服されている方への子宮体がん検診についての発表をしてきました。
婦人科ガイドラインでは、「高リスク因子のある女性を対象に医師の裁量のもとで施行」と書かれていますが、2018年に発表された乳癌診療ガイドラインでは、不正出血やすでに子宮内膜ポリープを有するようなリスクのある症例でない限り「定期的な子宮体癌検診は推奨されない」と追記されました。
タモキシフェンはもともと排卵誘発剤として開発されたものでしたが、クロミフェンとは逆に子宮内膜を増殖させる作用がありますので、超音波で観察をすると子宮体がんに似ているし、まれに子宮体がんになることもあります。症状が無い人に検査をしても死亡率を減らすわけではないという大規模な調査結果から、乳癌学会は「世界の常識?」に従って発表したのでしょう。
今回私が発表したの内容は、症状があって見つかった場合は進行がんである割合が高く、逆に検診でたまたま見つかった場合は早期がんの割合が多かったことから、死亡率は変わらないかもしれませんが術後の体調が違う(負担が少ない)可能性があり、細胞診はしなくても超音波検査で子宮内膜くらいは定期的に観察しておいたほうがよいのでは?というものです。
産婦人科学会のガイドラインは上記のことを踏まえてファジーにしているのでは?と思った次第です。