再発性の細菌性腟症・外陰腟カンジダ症
細菌性腟症は女性の20~30%にみられるようですが、全員に症状が出るわけではありません。また、腟内のカンジダも約30%に検出されますが、症状がでるようになる原因は分かっていません。いずれも6か月に2回、もしくは1年間に3回の発症で再発性と定義されます。
細菌性腟症を治療しても再発率は高く、半年後の再発率は28~75%にもなるようです。米国疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインでは、再発性の場合はメトロニダゾールの腟用ゲルを週2回、3か月間使用します。ただし、日本での保険適応はありませんし、日本性感染症学会のガイドラインにも再発性についての記載はありません。メトロニダゾールの長期経口内服は末梢神経障害の潜在的なリスクがあるため、抑制剤として使用するべきではありません。今回の出典(Obstet Gynecol.2024;144:765-781)は北米の産婦人科領域になりますが、上記ゲルでも3か月後に約50%の再発がみられるからなのか、米国食品医薬品局(FDA)で承認されていないホウ酸経腟投与について記載されています。日本では見たことがありませんが、アメリカではどうやら多くの女性や臨床医が使用しているようです。北米にはないけれど、EUで入手できるものとして、デカリニウム塩化物の腟剤が紹介されていました。現在、腟マイクロバイオーム移植の臨床研究が進行中のようです。
再発性外陰腟カンジダ症の再発予防はフルコナゾールを週1回、半年間内服する方法です。それでも治療終了後の再発率は1年後で58%とのことで、一部の女性には根治的ではなく抑制的な治療にすぎません。ここでもまたホウ酸の腟剤を14日間投与する方法が載っていました。また、2022年にFDAがオテセコナゾールを承認しました。52週間の追跡期間中に95%が再発しなかったようです。ただし、胎児毒性の可能性と薬物暴露期間が非常に長い(690日)ため、妊娠可能な女性には使えませんし、日本では寡聞にして見たことがありません。