卵巣老化のメカニズム
卵子は胎児期にほとんど完成された状態となり、その後は増えることがなく、逆に急速に減っていきます。卵巣の老化は他の臓器の老化よりも早く起こり、時間経過に伴う卵胞の閉鎖と排卵によって、卵胞の数が減っていくことで引き起こされます。そのメカニズムは複雑で、遺伝的要因、免疫調節異常、炎症、薬物、心理的要因などが関与しており、診断や治療は困難です。
現時点で卵巣老化を抑制させる有効な治療法が限られており、レスベラトロール、ラパマイシン、メトホルミン、メラトニン、成長ホルモン、幹細胞治療など、いくつかの化合物や治療法が有望視されているものの、これらの介入に関してランダム化比較試験による確固とした検証は行われていません。
今回のレビュー(Hum Reprod Update.2025;31:240-268)は、卵巣老化に関連するゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボローム、マイクロバイオームなど、いわゆるオミクス(omics)技術の発展による膨大なデータを統合することを目的にしたものです。2024年9月までに英語で発表された論文をPubMedでさまざまな関連キーワードで文献検索をしています。
マルチオミクス研究によって、DNA損傷・修復不全、炎症・免疫応答、ミトコンドリア機能不全、細胞死など、卵巣老化を促進する重要なメカニズムが明らかになってきているようです。最終的には、重要な制御因子やメカニズム同定することができ、薬物標的候補をより正確に予測できる可能性が挙げられています。残念ながら、現在のところまだ卵巣の老化を抑制する薬剤の臨床応用までは至っていませんが、期待できそうです。
