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子宮頸がん検診はいつまで?

[2025.09.28]

これまで子宮頸がんの原因となるHPVの検出は、新規に感染した場合か再感染の結果であり、検出されなくなることはウイルスが排出されたから、と解釈されていました。最近、国際パピローマウイルス学会が更新した報告によると、HPVの自然史はより多様なものであり、新規感染、自己接種、直近の性交渉による付着(感染まではしていない)、潜伏感染の再活性化、低レベルの慢性感染の再検出によってウイルスが新たに検出され、逆に検出されなくなる場合は、ウイルスの排除、ウイルスの潜伏化、検出感度の限界を下回るウイルス量、などが挙げられるようです(AJOG.2025;232:453-460)。
子宮頸がんのスクリーニング検査(細胞診ではなくHPV検診)は、子宮頸部前がん病変やがんのリスク上昇に関連する、一定以上のウイルス量を有する感染のみを検出するように設計されています。つまり、臨床的なリスクが極めて低い低コピー数のHPV感染は「見逃す」ようになっているのです。また、いったん感染が制御されたHPVが再び検出されるリスクは時間経過とともに増加し、5年後には約15%になります。このリスクはHPVの遺伝子型によって異なり、特定の型ではもっと高くなります。さらに、HPV検出の30~72%は以前獲得したHPV感染に起因する可能性があるようです。
これまでの知見をふまえて、子宮頸がん検診を中止する年齢は、多くの国では60~65歳としていますが、70歳で中止とすることを推奨している国もあります。検診年齢の上限は、ほとんどが推定寿命と高齢女性における検診の有益性と有害性のバランスに基づいています。がん検診の目的が「がんによる死亡率を下げること」が目的なので、追跡調査が10年以上となると、75歳以上では科学的根拠が乏しくなってしまいます。中止する基準を設定している国もあり、例えば検診終了10年前までに少なくとも2回の正常な検査記録があり、かつ過去25年間にCIN2以上の病歴がないことというが条件とされます。デンマークなどでは、過去に重度の異常やがんの既往があっても、直近の検診が正常であれば終了することができます。
日本では中止する年齢は設定されていません(69歳までは検診することを推奨)ので、現在のところ個人で判断することになります。オーストラリアでは74歳までが子宮がん検診の適応ですが、日本の細胞診ではなく5年に1回HPVを検出する方法です。つまり5年間(79歳まで?)は進行がんで見つかる頻度を減らせていることになるでしょうか。細胞診の場合は2年に1回ですが、過去3年間検診をしないで受診した際、子宮頸がんの発見率は75歳以上で急増していたという厚生労働省の報告からも、年齢での線引きは困難なのでしょう。90歳以降の死因は老衰が最も多いことからも、がんを早期に発見できても手術や化学療法などによる体への負担や心理的・経済的負担から、不利益が利益を上回る可能性を考慮することになります。

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