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授乳関連泌尿生殖器症候群(genitourinary syndrome of lactation: GSL)について

[2025.10.31]

産後および授乳期に生じる高プロラクチン血症および低エストロゲン状態に関連した性器および泌尿器症状を指す「授乳関連泌尿生殖器症候群(genitourinary syndrome of lactation: GSL)」という新しい概念が、2024年に提唱されているようです。これは、近年「閉経関連泌尿生殖器症候群:GSM」という疾患が明確に認識されたことを受け、低エストロゲン・低アンドロゲン状態となる他のライフステージにも注目が集まり、産婦人科医・泌尿器科医による学際的な議論を通じて提唱されています。
授乳中はプロラクチンが上昇して、視床下部からのGnRH分泌が抑制されるため、性腺活動が抑制されることから、エストロゲンおよびアンドロゲンレベルが低下します。この状態は腟組織の弾力性低下や菲薄化をもたらし、腟分泌液の減少により、腟の乾燥、性交痛、排尿障害、尿路感染症の再発および性機能障害を引き起こすようです。
今回のシステマティックレビュー(ObGy.2025;146:59-72)は、GSLの有病率と腟萎縮、腟乾燥、排尿障害、性交痛、および性機能障害などの関連症状を明らかにすることが目的で、2024年4月までに報告された1550件の研究のうち、選択基準を満たした65件の研究をもとにそれぞれの有病率が算出されています。腟萎縮は63.9%、腟乾燥は53.6%、産後3か月・6か月・12か月における性交痛の統合有病率は60.0%・39.7%・28.5%、性機能障害は73.5%でした。

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