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早川智先生の特別講演①

[2024.09.30]

第76回日本産科婦人科学会・学術講演会で早川智先生の特別講演がありましたが、その内容が日産婦誌76巻9月号に載っていました(Acta Obst Gynaec Jpn.2024;76:867-878)。早川先生は産婦人科領域だけではなく感染症の大家でもあり、多才なエッセイストです。「ミューズの病跡学」シリーズは医学に関係のない方も楽しく読めます。
さて、講演では長いキャリアの中で明らかにされた業績がいくつも紹介されていました。重要な論文がたくさんありすぎて全てを紹介できないのですが、まずは微生物学分野の主任教授になられた当時に問題になっていたHIV母子感染について抜粋します。すごいと思ったのは、感染妊婦で必ずしも子宮内感染が成立しないことから、未知の胎盤関門を疑われたことです。約10年ほどの尽力で、2016年に胎盤バリアの本体がVpx結合タンパクであることを報告されました。この時期の経験がCOVID-19のパンデミックの時に役に立ったとのことで、やはりHIVと同様に胎盤バリアの存在が示唆されることを2022年に報告され、技術の進歩もありますが、胎盤関門の解析に約1年で目途がついたようです(現在投稿中とのこと)。なお、HIVとCOVID-19の診療ガイドライン作成にも参画されています。

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