miRNAと不育症の関係
[2022.06.30]
RNAはDNA(主な役割は遺伝情報の保存)から合成されますが、様々な種類があり、タンパク質の産生に関わったり、産生するタンパク質の量を調整したりしています。マイクロRNA(miRNA)はその名の通り、短い(20-25塩基)RNAで、メッセンジャーRNA(mRNA:タンパク質を作る設計図みたいなもの)に結合して、タンパク質ができるのを抑制します。最近はいろいろながんでmiRNAの発現量が変化していることが報告されており、早期に診断するために臨床応用されつつあります。
さて、妊娠に問題のない女性と不育症の女性において、子宮内腔に貯留しているマイクロRNA(miRNA)の組成を比べたところ、両群で61のmiRNAに違いがあったとのことです。そのなかには、子宮内膜上皮細胞に発現して子宮内膜受容性や着床と関係があるものが確認されています(Hum Reprod.2020;37:734-746)。
現状では不育症女性の子宮内腔でmiRNAの調節を改善させることは困難ですが、将来miRNAを操ることができるようになれば、治療することができるようになるでしょう。