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対策型検診と任意型検診

[2020.08.30]

対策型検診とは、死亡率を下げることを目的に、公共政策として行われているがん検診のことです。死亡率の減少に寄与することが明らかになっている、5つ(子宮頸部・乳腺・胃・肺・大腸)のがんだけが対象になっています。これまでに蓄積されたデータから、メリットとデメリットを検討して検査時期や検査間隔が決められています。これに対して、人間ドックなどの任意型検診とは、個人の判断で行われる検診です。
日本では欧米と比べて閉経前の乳がんが多く、40歳台と50歳台以上ではマンモグラフィーで検出される割合が70%程度と90%程度と差があります。これは、年齢による乳腺密度の違いが原因です。超音波検査を併用することによって、がん発見率が1.5倍(併用で90%台)となり、現在でも死亡率減少効果を検証する研究が進行中です。
「死亡率」減少効果が確定されていないことや、超音波検査を行う体制が整っていないことなどが理由で、現在は対策型検診になっていませんが、約35%の自治体で超音波検査が乳がん検診に導入されています。検査をすることにより、病変のように見えてしまう場合に結果的に余計な検査をすることになってしまう割合なども考慮して、対策型としての導入は時期尚早であるという意見も根強い状態です。
「死亡率」減少はまだ確定されてはいません(結果が出るのはずっと先になります)が、「進行がん罹患率」の減少効果(早期がんで治療できる)があるため、産婦人科医会は30歳からの超音波検査を対策型検診にするよう、行政に要請するようです。
いずれ、採血だけで様々な臓器がんが早期に検出できるようになるのでしょうが、11人に1人が乳がんになるこの時代、乳腺の超音波検査は任意型検診の代表だと思います。

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