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HPVワクチンについて

[2023.03.31]

2023年4月1日から9価HPVワクチン(シルガード9)が定期接種になります。9才以上15才未満であれば2回の接種、15才以上であれば3回接種で、平成19年4月1日生まれまでの女性は公費対象です。4価のガーダシルであれば、男性も含めて9才以上が対象となり、3回接種になります。なお、現在のところ男性の接種は自費です。

HPVワクチンは2006年から各国で導入され、当初はまず女性から開始して、経済的な余裕があれば男性にも導入するという方針の国が多かったようですが、アメリカで中咽頭癌の数が子宮頚癌よりも多くなった頃から、より多くの男性が接種したほうがよいという風潮になっています。日本では2022年8月に男子への定期接種の検討が始まっています。
なお、中咽頭がんは飲酒や喫煙が主な原因と考えられていましたが、最近、HPVウイルスが原因の中咽頭がんが年々増え続けており、60%を占めるようになりました。現在の推定年間発生数は約3000人程度で、子宮頸がんの1/3程度ですが、今後さらに増加していくことが予想されています。咽頭の奥深くに発生するため、子宮頸がんのように早期発見することは難しく、診断時にはすでにリンパ節転移をしていることが多いのが特徴です。ところが、HPV関連の中咽頭がんは古典的な中咽頭がんに比べて放射線治療や抗がん剤が効きやすいため、はるかに予後が良好であることからも、独立した病気として扱われるようになりました。なお、耳鼻科領域のHPVによるがんは中咽頭がんがほとんどですが、産道感染などで起こる子供の咽頭乳頭腫は声が出なくなることもあり、成人においては癌化していくこともあります。何度も繰り返す鼻腔の乳頭腫は、癌化すると難治性です。

ところで、20代の子宮頸がんではHPV16/18型の頻度が90%を超えていますが、HPV関連がん(口腔がん、中咽頭がん、肛門がん、陰茎がん、外陰がん、腟がん)の原因のほとんどはHPV16/18型です。ガーダシルでもシルガード9でも、時期を逸しないで接種がお勧めです。

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