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乳がん治療後の妊娠

[2021.07.29]

日本産科婦人科学会の「生殖・内分泌委員会」主導で、乳癌治療が妊孕性に及ぼす影響の実態調査が行われました。2019年3月までの5年間で、乳癌治療後に妊娠許可された113症例(妊娠は24例)が乳癌治療施設で追跡されており、妊娠率は35歳未満で40%(そのうち自然妊娠が60%)、35歳から40歳未満では21%、40歳から45歳未満で10%でした。妊娠成立までの期間は全例で36ヵ月以内でした。化学療法の有無と妊娠の関係は有意差が得られなかったとのことです。また、タモキシフェンの治療で妊娠率が低下するということもありませんでした。
不妊治療専門施設では、138症例(採卵361周期、移植288周期、妊娠72回)のデータが解析されました。35歳から40歳未満でも半数以上が妊娠をしており、40歳から45歳未満での妊娠率は約30%でした。このグループでは化学療法の実施により妊娠率は低下する可能性があるようです。
現在、手術後1年半以上2年半以下の期間でホルモン療法を行った後、最大2年間治療を中断して不妊治療を行い、出産後にホルモン療法を再開するという治療の有効性と安全性を検討する臨床試験が進行中とのことですが、これは上記の結果(妊娠する場合は1~3年以内に妊娠していた)もその意義を裏付けていると考えられています。

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