細菌性腟症の再発率:男性パートナーに対する治療の効果
細菌性腟症(BV)は女性の約3割がかかり、国際的な治療ガイドラインでは、メトロニダゾールまたはクリンダマイシンが第一選択として推奨されています。とはいえ、3か月以内の再発率が50%を超えることが問題になっています。
最近、疫学および微生物学的なデータに基づき、BVが性感染症の一面を持っていることが示されています。特定のパートナーがいる場合の再発リスクは、いない女性の2倍になるようです。男性の尿道遠位部や包皮腔にBVの原因となる細菌種が存在している可能性があり、陰茎の細菌を調べることによって、女性のBVリスクを予測できることが報告されています。
これまで行われていた、男性パートナーに対する治療でBVの再発率が減少するかどうかという臨床試験においては、治癒率の向上はありませんでした。そのような臨床試験では、単回投与の効果を見ていたり、経口抗生剤のみの評価だったり、陰茎皮膚に付着したBV関連の細菌を確実に除去できていなかった可能性があります。
今回の報告は、抗菌薬の経口投与および局所投与による治療を同時に行うことで、女性のみ治療する場合と比べて、12週の時点での再発率を検討したものです(N Engl J Med.2025;392:947-957)。
BVに罹っている女性に治療する際、男性パートナーがメトロニダゾール400mg錠の内服とクリンダマイシン2%クリームの塗布(1日2回7日間)を行ったかどうかで、12週間以内の再発率を評価したところ、パートナーも一緒に治療した場合の再発率は35%、女性のみの治療群では65%でした。なお、日本ではクリンダマイシンクリームの治療は保険診療ではありません。