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科学技術の進歩と遺伝子検査の変遷

[2020.07.01]

医学の進歩は科学技術の発展に依存しています。たとえばコンピューターの進化は日進月歩で、ムーアの法則(端的には、「1.5年で能力が2倍になる」)に限界があるとはいうものの、10年たつと約100倍になるようです。私が研修医時代に比べると超音波やCT・MRIの画像処理能力が向上して3Dが当たり前のようになり、PCRから次世代シークエンサーへの発展など、恩恵にあずかっていることは明らかです。遺伝子検査においても同様で、学生時代には「我々は皆、3-4カ所の遺伝子異常がある」と聞いていましたが、研修医のころには「200-300カ所」になっており、びっくりした記憶があります。
最近は出生前診断などで染色体を調べる手法として、マイクロアレイが一般的になっています。SNPマイクロアレイではDNAの中の260万カ所以上の場所を調べることができるようになっており、様々な遺伝子変異を検出できるようになっています。今年4月に報告されたオーストラリアのビクトリア州でのコホート研究(Hum Reprod.2020:p694-704)では、流産となった2573例のうち主要な染色体異常は50.9%、病的コピー数の変異は1.9%とのことでした。私が10年以上前に関与していた研究(厚労省研究事業「アレイCGH法による流死産の原因解明と不育症に対する治療戦略の確立」 )と比べると、はるかにしっかりとした研究でした。

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