2025年1月からの横浜市子宮がん検診
日本では毎年約1.1万人が子宮頸がんにかかり、約2,900人の女性が亡くなっています。発症は20代から増え始め、30代までにがんの治療により子宮を失ってしまう人が年間に約1,000人います。早い時期に発見できれば、子宮頸部の一部を切除するだけで子宮のほとんどを残すことができ、治療後に妊娠・出産も可能です。
子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)で、感染が持続するとがんになることが明らかになっていますが、すぐにがんになるわけではなく、ほとんどが1~2年以内に自然に消えてしまいます。一部に感染が持続してがんのリスクを上げる場合があり、数年~数十年かかって浸潤がんになります。性交経験のある人の80~90%の人が生涯一度はHPVに感染しているのですが、現在200種類以上見つかっているHPVのなかで、子宮頸がんになるリスクのあるHPVの型が分かっています。
現在日本では細胞診による子宮がん検診ですが、横浜市では令和7年1月から全国に先駆けてHPV検査による検診が開始されます。対象年齢はエビデンスに基づいて30~60歳です。これ以外の年齢の方はエビデンスがないため、従来通り細胞診による検診になります。これまでの細胞診による子宮頸がん検診は、25~69歳での浸潤がん罹患率減少効果のエビデンスがあります。日本では20歳になる年度から検診が開始されていますが、25歳までの検診による効果を否定するほどの強い根拠はないため、変更なく20歳から継続されています。検診終了年齢は自治体の事情もあり、規定されていません。ちなみに海外での検診方法と検診間隔はさまざまで、たとえばイギリスでは25~49歳は3年おき、50~64歳では5年おき、65歳以降は異常がなければしていません。細胞診とHPV検査併用している国もあります。
HPV検診では細胞診と比べて,1000人あたり真の陽性(がんに罹患する)を5人多く検出できる一方,細胞診と比べて42人の偽陽性(そもそも正常で、がんにはならない)を増やすデメリットがあります。HPVが陰性でも、細胞診では子宮体癌がみつかることがあります。賛否両論がありましたが、HPV検診では5年あけても細胞診による検診と同じ効果(次回の検診で治療が必要になる確率が同程度)になることから、日本でのHPV検査は5年毎になりました。