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Pharmacogenetics(薬理遺伝学)の話題

[2020.03.30]

 春先から4月いっぱいは花粉症対策で抗アレルギー剤を内服するのですが、これまで1日1回の内服でよいと言われる薬をいくつか試してみたものの、眠くなるので従来の1日2回の薬にしていました(最近登場したビラノアは1日1回で眠くなりませんでした)。でも、私が眠くなる薬を内服しても全然眠くならない方もいますし、眠くなりにくいと言われる1日2回の薬で眠くなる方もいます。これは、お酒を飲むと顔がすぐ赤くなる方とそうでない方と同様、「体質」に依存しているからです。
 最近は薬を処方する際に、「体質」を考慮するようになってきました。例えば、乳がん治療で使用するタモキシフェンは、体内にある酵素(CYP2D6)で代謝されて効果を発現することが分かっていますが、この活性が低い「体質」(遺伝子型)の患者さんでは、タモキシフェンが代謝される量が少ないので同じ用量では治療効果が低いのではないか?という疑問がでていました。そこで、CYP2D6遺伝子の代謝活性が低い患者さん達において、国立がんセンターなど全国50以上の施設が共同で臨床研究を行った結果、タモキシフェンを増量しても治療効果の向上は認めらなかったことが分かりました。「遺伝子型に基づく用量の個別化は不要」とのことです。
 理論通りにはいかないことがあるので、やはり臨床研究で効果を確認することが大切ですね。

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