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帝王切開の既往と体外受精の成績の関係

[2024.03.31]

帝王切開分娩(帝切)の割合は国によって異なり、ラテンアメリカ・カリブ海の地域で最も高く47.5%で、オセアニア36.4%、北アメリカ32.2%、ヨーロッパ31.3%、アジア28.5%、アフリカ10.4%と続いています。日本における最新(2020年)の帝切率は、病院27.4%、診療所14.7%、全体では21.6%です。病院では双胎妊娠や既往帝切や前置胎盤など、予定帝切になる妊婦さんが集まるので帝切率が高くなります。
帝切後にしばしば見られる合併症に、子宮切開部のテント状の陥凹(帝切部位の不完全な組織治癒のために形成される袋状の子宮筋層欠損:検査方法により24~84%と報告)がありますが、これによって月経の延長・不正出血・慢性骨盤痛・月経困難症などの症状を伴うことがあります。続発性不妊症の原因にもなるという仮説があり、陥凹があることで精子の移動や生存率の低下に関与していると考えられています。これが引き起こされる機序としては、子宮筋層の収縮の変化、血液や炎症性浸出液の貯留など、さまざまな可能性が挙げられています。
これまで帝切は体外受精(IVF)の成績に悪影響を及ぼすと報告されていますが、子宮切開部の陥凹の有無を考慮されていないため、帝切そのもののみがIVFの成績低下と関係しているかどうか、明らかではありませんでした。今回、陥凹とこれに関連する状態(子宮内腔の貯留液)がIVFの成績に及ぼす影響に関するシステマティックレビューとメタアナリシスを要約した報告があったので紹介します(Ferti Steril.2024;121:299-313)。
8件の研究(n=10,873人)が解析されたところ、陥凹を認めた場合は生児出産率が低くなるという結果でした(陥凹のない妊婦との比較では調整オッズ比0.64;95%CI, 0.53-0.72、経腟分娩歴のある妊婦とでは0.55;95%CI, 0.42-0.71)。陥凹のない帝切既往妊婦と経腟分娩歴のある妊婦での生児出産率は同程度でした。また、陥凹があって子宮腔に貯留液がある場合はIVFの成績の低下が示唆されました。帝王切開自体は生児出産率に影響を及ぼさないものの、子宮筋層の陥凹は悪影響を及ぼす可能性があるということになります。

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