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AMHと初期流産率の関係

[2020.06.22]

抗ミュラー管ホルモン(AMH)は卵巣予備能(どのくらい卵子が残っているか)の指標になると考えられており、不妊治療の検査やブライダルチェックの際に調べることがあります。AMHが十分高値だと卵子がしっかりあることが分かりますが、低値だからといって妊娠しないわけではありません。確かに体外受精や顕微授精の場合、AMHが低いと採卵数は少なくなりますが、出産まで至る確率が極端に下がるわけではないので、2018年に日本産婦人科学会から注意が4項目、喚起されました。(1)AMH は卵子の質とは関連しない、(2)AMHの測定値は個人差が大きく、若年女性でも低い場合や高齢女性でも高い場合があり、測定値からいわゆる「卵巣年齢」の推定はできない、(3)測定値と妊娠する可能性とは直接的な関連はなく、測定値から「妊娠の可能性」の判定するのは不適切と考えられる、(4)測定値が低い場合でも「閉経が早い」という断定はできない、というものです。なお、高すぎる場合は多嚢胞性卵巣症候群の場合もあり、注意が必要です。
ところで、AMHが低い場合でも卵子の質が悪いわけではないので、流産率は変わらないことが予想されますが、実際のところは確認してみないと分かりません。ヘルシンキ大学からの報告(Hum Reprod.2020:p504-515)によると、AMHが低くても初期流産が増えるわけではありませんでした。また、累積妊娠率と累積生児出産率を比べると低AMH群では50.6%、34.0%、正常AMH群では68.3%、49.2%でした。

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