妊娠前管理としての乳がん検診
[2020.09.07]
最近の生殖医療の分野でも、乳がんについての情報提供を積極的にするべきだという意見がでるようになりました。Human Reproductionという医学雑誌の6月号冒頭には、(アメリカでは)8~10人に1人の割合で乳がんが発生し、初産年齢が上昇していることからも、不妊治療に際して全ての妊娠で乳がんのリスクが短期的に増加することを説明する必要がある、と記載されています。
日本の乳がん検診の受診率は、欧米での受診率が70~80%台であるのに比べて低く、23.8%しかありません。しかも、40歳未満は検診対象になっていないことから、発見が遅れがちになり、進行がんが多くなります。妊娠をすると産婦人科を受診することになるので、その際に行政が乳がん検診を提供するべきだと言われる先生もいらっしゃいますが、一般の分娩施設にはマンモグラフィーはありませんし、昨年3月の時点で産婦人科の超音波読影医は270名しかおらず、すぐには実施体制は整わないと思われます。