乳がん患者さんの妊孕性温存
[2020.06.08]
若年発症のがん患者さんにおいては、将来の妊娠のために卵子や精子の保存を検討するべきで、実際に保存してくれる施設が増えています。生児獲得率を鑑みると、可能であれば受精卵(胚)で凍結保存するのが最も成績がよいです。
乳がん患者さんで妊孕性の温存目的に卵子や胚を凍結保存する場合、元々乳がんで使われるレトロゾールを併用する方法で卵巣を刺激(卵子をたくさん育てる)するプロトコールが採用されるようになっています。
スウェーデンからの報告(Hum Reprod. 2020 p929-938)では、レトロゾールを使うプロトコールと従来の方法を比較すると、凍結保存できた卵子や胚の数に違いはなく、妊孕性温存を行っても生存率が悪くなることはなかったようです。
乳がんは他の臓器がんに比べて進行が遅いことが多いこともあり、妊孕性の温存も忘れないで頂きたいと思います。