若年乳がん女性における不妊治療の安全性
[2022.07.31]
乳がん患者のなかには妊娠を希望する年代の方もいます。抗がん剤が必要な場合、治療を開始する前に調節卵巣刺激で採卵をして保存しておくことが一般的になっていますが、ホルモン感受性の乳がんにおいてはアロマターゼ阻害剤(レトロゾール)を併用したとしても、排卵誘発をすることによる安全性(腫瘍増殖する可能性)を危惧する方がいます。また、抗がん剤治療をした後に体外受精をしたことの影響についての研究はあまり多くありません。
今回の論文(システマティック・レビューおよびメタアナリシス)紹介は、抗がん剤使用前の調節卵巣刺激または治療後の体外受精の影響を、乳がん再発率、再燃率、全生存率、死亡数について検討したものです(Hum Reprod.2022;37:954-968)。その結果は、乳がんの再発、死亡率、無イベント生存率において、有害な影響は及ぼさなかったというものでした。むしろ、再発リスクや死亡リスクが低下する傾向があり、驚きました。