ブライダルチェックにおける肝炎ウイルスの確認の意義
[2023.06.30]
日本のB型肝炎ウイルス(HBV)感染患者は130~150万人、C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者は90~130万人と推定されています。ほとんどが母子感染ですが、大人では性交渉で感染することもあります。感染が長期に持続すると効率で肝臓がんになることが知られており、妊娠初期には必ず検査されています。最近では治療することができるようになっていますので、持続感染されている場合は、生まれてくる子供のためにも妊娠前の治療が望ましいです。
ただ、HBVが持続感染している慢性肝炎では、HCVの場合とは違ってウイルスを完全に排除することは出来ません。肝炎を鎮静化させることが目標になります。炎症を抑えるインターフェロン(IFN)療法(注射)と、直接HBVに作用してウイルスの増殖を抑えて鎮静化させる核酸アナログ製剤(内服薬)、および肝庇護療法も併用することがあります。
HCVによる慢性肝炎の場合には、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が登場したことで治療法がガラッと変わり、現在ではほぼ100%の方がHCV陰性の状態になるようです。
いずれにしても、妊娠前に治療をしておいたほうがよいでしょう。