レトロゾールの適応外使用:排卵誘発剤として
[2019.05.31]
最近、閉経後の乳がん患者さんに使われるレトロゾールが不妊治療でも使われるようになっています(適応外使用ですが)。レトロゾールとは、女性ホルモンを作らせないようにするアロマターゼ阻害薬です。女性ホルモンに反応するタイプの乳がん患者さんに使われます。数日しか内服しない場合は、クロミフェンと同様に卵胞が育つような反応が見られます。特に乳がん既往で排卵誘発が必要な方には、できるだけ再発リスクを低くするために選択されます。
また、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されている方にレトロゾールを使用することにより、クロミフェンを投与するよりも妊娠率が高かったという報告や、さらにレトロゾールとクロミフェンを併用することで、高い排卵誘発率が達成されたという報告が海外で出ているように、保険診療ではないものの、きちんと説明と理解の上で使われる機会が増えると思われます。
乳がんで使われるお薬が不妊治療でも使われるので、乳腺と卵巣は関係が深いなぁと、しみじみ思った次第です。