精子のHPV感染と不妊症・不育症との関係
[2023.04.30]
前回はHPV感染とがんの関係についての情報でしたが、今回は初めて原因不明の不育症と精子のHPV感染との関係について調査された論文の紹介です(Fertil Steril.2003;119:410-418)。
この中で興味深かったことは、不妊症男性の精液中のHPV感染率(20.9%)が一般集団(8.2%)よりもかなり高いことや、最近のメタアナリシスでも、女性不妊症を調整した条件でHPV感染と男性不妊に有意な関連があるという情報でした。
不育症の約40~50%が原因不明とされていますが、この論文の研究で精子へのHPV感染は、不育症例で23/117例(20%)に対してコントロールでは3/84(4%)例でした。多変量回帰モデルで有意な関連があったことから、不育症の原因にHPV感染が含まれている可能性が大いにあると思われました。