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院長ブログ

多嚢胞性卵巣症候群での妊娠率(2021.11.29更新)

月経不順で来院される方の中には、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)であることも多いです。すぐに妊娠をご希望でなければ毎月生理がなくても当面は問題ありませんが、PCOSであってもなくても、加齢とともに妊娠率が低下していくことには留意する必要があります。
PCOSでも正常な排卵周期がある場合もあり、その際は妊娠率は下がらないのでは?と思っていましたが、最近、妊娠率は低下することを示唆する報告がありました(Hum Reprod.2021;36:2421-2428)。一般的なPCOSの方が初めて出産する確率は、そうでない方よりも最大20%(自然妊娠のみであれば最大40%)低く、出産までの期間は約2年遅くなるようです。とはいえ、不妊治療ですべての年齢層で妊娠率が改善することが分かっています。
また、PCOSには肥満、インスリン抵抗性、糖代謝異常などが共存することもあり、これらは卵母細胞の発生や子宮内膜の能力および胎盤形成などに影響を及ぼし、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、早産などの妊娠合併症のリスクであることが知られています。基礎医学研究では、PCOSで正常に排卵する女性においても、卵巣機能に影響を及ぼす内分泌や代謝変化が報告されており、酸化ストレスの増加で活性酸素の過剰産生により減数分裂異常が発生することなどで、卵母細胞の能力低下や顆粒膜細胞機能などの変化があるそうです。流産での染色体異常の発生率もPCOSでは高くなると報告されています。さらにPCOSでは、排卵の有無に関係なく、細胞周期の調節や細胞輸送、DNA修復などの異常が子宮内膜に検出され、妊娠率低下のリスクになるとのことです。
正常な月経周期であればPCOSかどうかは気が付かれにくいこともありますので、結局、なかなか妊娠されない場合は、早めに治療を開始することが望まれます。

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