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体外受精後妊娠の不正出血と自然流産の関係

[2024.02.29]

自然妊娠において、不正出血があると自然流産のリスクが高くなることが知られています。過去の報告によれば、不妊治療後の約1/3に出血が起こる可能性があり、自然流産のリスクが高くなることが示唆されます。また、自然妊娠を対象とした研究から、胎児心拍数が遅い場合と頭殿長が短縮している場合は自然流産のリスク因子であることが分かっています。
不妊治療の集団において、「胎児心拍と頭殿長に関係なく、出血のみで自然流産リスクが上昇する」という仮説をたてて、体外受精で単胎妊娠をしたグループでの後向きコホート研究が行われました(AIOG. 2023;229:534.e1-e-10 )。
対象となった1858人(流産 359人、生児出産 1499人)のうち、315人(17%)に不正出血がありました。妊娠8週までの出血の有無と、妊娠6週もしくは妊娠7週での頭殿長と胎児心拍数の結果から、自然流産の早退リスクと陽性的中率が算出されています。
出血が自然流産と関連があったのは、超音波検査で胎児心拍数の異常や頭殿長の異常を伴うもののみでした。超音波検査が正常であれば、出血は自然流産リスクの上昇とは関連せず、生児出産率は超音波検査が正常で出血も認めなかった妊婦と同程度でした。
つまり、体外受精で単胎妊娠が成立した場合、不正出血を認めたとしても超音波検査の測定値が正常であれば、自然流産のリスク増加はなかった、ということです。

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