多汗症の治療
夏が近づくとわきの下の汗染みが気になる方が増えてきますが、皆さんはいかがでしょうか?日本人の約20人に1人が原発性腋窩多汗症だと言われています。皮膚科学会の定義によると、原発性腋窩多汗症とは、「明確な原因がないにもかかわらず、脇の下(腋窩)に、日常生活にも支障をきたすほど過剰な発汗を生じる疾患」だそうです。「日常生活にも支障をきたす」感覚は個人差がありますが、診断基準(週1回以上の頻度で発汗が多いなど、6項目のうち2つ以上があてはまる)に該当する方はやはり多いような気がします。
さて、先週から新しい治療薬が保険診療で販売開始になりました。2020年にも同様の塗り薬が保険適応になっていますが、これらの薬剤が出る前は、汗の出口をふさぐ塩化アルミニウムを塗布(自費診療)したり、ボトックス注射で汗を出させる神経伝達物質が出ないようにする治療(保険治療ですが1回あたり約2万円で、半年ほどで効果が減弱)がありました。新しい薬剤は1回分が保険診療(3割負担)で80円弱で、1日1回わきの下に塗るだけです。汗を出させる神経伝達物質が作用しないようにブロックして、汗が出るのを抑えてしまいます。
ただし、眼に入ると光をまぶしく感じたり目がかすんだりするので、手が目に触れても大丈夫なように、流水でしっかり洗い流す必要があります。緑内障や、男性であれば前立腺肥大の方は使用できません。また、どんな場所でも効果がありそうですが、わき以外への使用は認められていません。